〇熨斗とは
熨斗(のし)とは、日本の伝統的なしきたり・マナーの一つで、内祝いやお中元・お歳暮など、フォーマルな贈り物の場面で使用される飾りのことを指しています。贈り物に熨斗をつけることで、お相手の方にきちんとした印象を与えることができます。また、のし紙・掛け紙には、のし上に内容を記載できるので、その品物がどのような用途で贈られたものなのかを示すことも可能です。
▼熨斗の由来
現在では、熨斗が印刷されたのし紙そのものを「のし」と呼ぶのが一般的になってきているため、もともとの熨斗の意味を知らない方も多いのではないでしょうか。
熨斗とは、本来、ご祝儀袋やのし紙の右肩に添えられている飾りのことを指しています。
熨斗は長寿をもたらす食べ物とされている鮑(アワビ)を薄く伸ばして干した「のしあわび」を簡略化したものであり、日本では古くから生ものの象徴として、贈り物にのしあわびを添える風習があったことから、縁起物には熨斗をつけるようになったといわれています。
▼のし紙と掛け紙の違い
掛け紙には熨斗と水引を印字した「のし紙」と、水引だけを印刷したものがあります。一般のご贈答や慶事などにはのし紙を使用し、お見舞いや弔事などには熨斗のついていない掛け紙を使用します。
▼のし紙・掛け紙の見方
それでは、実際にのし紙・掛け紙に記載されている内容は、それぞれどのような意味があるのでしょうか。
パーツごとにそれぞれの役割について見ていきます。
・のし上(表書き)
のし上(表書き)とは水引の上部にくる文字のことを示しています。ここには「御祝」や「内祝」など、どのような目的で贈られたものなのか、贈り物の用途を記載します。
・のし下(名入れ)
のし下(名入れ)とは、水引の下部にくる文字のことをいいます。
基本的には個人名や会社名など、誰からの贈り物か一目でわかるよう、贈り主の名前を記載します。出産内祝いの場合にはお子様のお名前・ふりがなを記載するなど、用途や贈る人数によって記載する内容が異なるのでチェックしておきましょう。
<個人で贈る場合>
目上の方に贈る場合はフルネームで記載しましょう。 目下の方へ贈る場合は、姓のみでもOKとされています。 また、会社から贈る場合には、(株)や(有)などの略式を使用せず、「株式会社」「有限会社」と、正式名称で記載するのがマナーです。
<複数人で贈る場合(3名まで)>
3名までの連名で贈る場合は、右から年齢や役職などに従って地位の高い順に書きます。特に差がない場合は、右から五十音順に書きましょう。 また、結婚内祝いなど、夫婦連名で贈る場合には、夫の名を右側に書き、その横に妻の名を記載(婿養子様の場合は逆の位置に記載)します。
<複数人で贈る場合(4名以上)>
4人以上で贈る場合は、代表者の名前を書き、その左側に「他一同」などと記入して、中包みにその他の人の名前を記載するのが一般的です。
・熨斗
熨斗は、一般のご贈答や慶事にのみ使用されます。弔事などのように、おめでたい出来事とは異なる場合は、熨斗がついていない掛け紙を使用しましょう。
・水引
水引は、使用する用途に応じて色や本数、結び方が異なるので使いわけが必要です。